最近読んだ本まとめ

2016-11-10   book 

ゲーム・プレイヤー (角川文庫)

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日本ではぜんぜん有名じゃないけど、海外ではシリーズ物としてけっこう有名な作品らしい。実際、読んでみたらめちゃくちゃ面白かった。カバーのイラストがアレなんでだいぶ損してると思う。しかも絶版でもうほとんど手に入らないし。

ストーリーは端的に言うと、主人公がゲームをしに行く話だ。

高度な文明を持つ“カルチャー”―人類は病気になることも死ぬこともなく、ただひたすらゲームに興じている。グルゲーは“カルチャー”の軌道ステーションの一つで暮らしている「ゲームの達人」であり、あらゆるゲームに精通していた。ある日彼のもとに、究極のゲーム『アザド』に挑戦してみないかという誘いが来る。悩んだ末ついに参加する決心をしたグルゲー。しかしこのゲームには一つの宇宙文明圏をも左右する大きな意味があったのだ…。天才的ストーリー・テラーによるスペースオペラの傑作。

最初はそんなの面白い話にできるわけがないと思っていたけど、中盤を過ぎたあたりからはもう夢中で読んでいた。

これだけの名作をこんな変なイラストで貶めた上に、絶版のまま放置なんて許されざる所業だ。しかも日本語に翻訳されているのが、シリーズの中でもこの一作品だけというのも問題だ。

早急に電子書籍化と、シリーズ全作品の翻訳を希望する

夏への扉

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買ったまま何年もずっと放置してたけど、さすがにそろそろ読まないと、と思って連休を利用して読んでみた。これはさすがに名作と言われるだけあって、読み終えたあとの余韻が非常にすばらしかった。ただ高校生とかそれくらいの歳のときに読んでおくべき作品だな。おれは本とか全然読まなかったからな・・・。

ぼくの飼っている猫のピートは、冬になるときまって夏への扉を探しはじめる。家にあるいくつものドアのどれかひとつが、夏に通じていると固く信じているのだ。1970年12月3日、かくいうぼくも、夏への扉を探していた。

夏への扉、内容だけじゃなくてタイトルも実にすばらしい。とりあえず、この作品を読めてほんとによかった。

ウール 上 (角川文庫)

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正直、宇宙が舞台じゃない SF はあまり好きじゃないんだけど、これはなかなか設定がすばらしくて、下巻まであっと言う間に読み終わった。

世界が終末を迎え、人類は地下144階建てのサイロで、限りある資源を再利用しながら暮らしていた。

なぜこんなサイロが造られたのか、なぜここでしか生きられなくなったのか。好奇心を刺激するよくできた設定だ。

  1. WOOL
  2. SHIFT
  3. DUST

の 3部作で、それぞれ上下巻があるので、読み応えのあるシリーズになっている。おれはちょうどいま、2作目の『SHIFT (下)』を読み始めたところ。

難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!

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Kindle Unlimited で読んだ本。自分が全然無知な分野なので非常に勉強になったが、それよりも感心したのは、この本の異常なまでのわかりやすさだ。こんなにわかりやすい本を書けるもんなのか、と素直に感心した。おれのブログもこの本のようにわかりやすい記事を書けたらいいのに。

超インフラ論 地方が甦る「四大交流圏」構想 (PHP新書)

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これも Kindle Unlimited で読んだやつ。

日本のインフラは十分などころか貧弱すぎるというこの筆者の意見には同意する。おれも「とっとと日本海側にフル規格の新幹線通せよ」と言いたい。ミニ新幹線規格で茶を濁すのもやめてほしい。

インフラの話をすると必ず土木利権の問題にすり替えられて議論にならないって筆者が嘆いてるけど、たしかにそれも問題だわ。おれはわけのわからないことに税金使われるより、土建屋に突っ込んでインフラを充実させたほうがはるかに我々の生活にプラスになると思うけどな。

超・箇条書き

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このブログでもたまに箇条書きで記事を書いたりしてるので、参考になるかと思って読んでみた。結論から言うと、おれの箇条書きとは目的が違うのであまり参考にはならなかった。この本で扱っている箇条書きは、あくまで相手を説得するためのツールとしての箇条書きである。おれは別に説得したくてブログを書いてるわけじゃないので。

ただ、けっこういいこと書いてるし、どこかで役に立ちそうな内容だった。印象に残ったのは以下の一文。

シリコンバレーで出会った起業家たちも、箇条書きを効果的に使う。 (中略) 日本企業のビジネスパーソンが、目的や結論のわからないプレゼンを長々とし、相手に無視され、せっかくのチャンスを逃していたのとは対照的だった。

こういうやつ、ほんと多いよね。しかも当の本人は何がだめなのかまったく気づいてないんだよ・・・。

ピクサー流 創造するちから

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まだ半分くらいしか読めてないけど、これは必読の一冊になるだろう。スティーブ・ジョブズの話も出てきて、なかなか興味深い。下手なビジネス書読むよりぜんぜんいいって言ってた人がいたけど、おそらくそれは間違いない。

この本を読んでいると、上っ面だけじゃなくて常に本質を求めて行動している様子がよく伝わってくる。ビジネス書を読んでわかった気になって、上っ面だけを求めて行動している人は、これを読んで反省してほしいわ。

人類を超えるAIは日本から生まれる

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前作、『2045年問題 (廣済堂新書)』を読んだことがあったので、これも読んでみた。日本が AI の研究で遅れているのは非常にまずいと思っていて、実際のところどうなっているのか興味があった。それは、この本に書いているとおり、

超知能の開発のメリットを得られるのは、それを世界で最初に開発した者だけだということです。超知能開発は「2位じゃダメ」なのです。

だからだ。

とりあえず可能性がないわけではないというのがわかったけど、それでもいまのまったくパッとしない状況はまずいよなぁ・・・。

それともうひとつ、

未来は総カルチャーセンター化すると私は予想しています。

それこそが最初に紹介した『ゲーム・プレイヤー』の世界、「カルチャー」だよ。