自分は特に読書家というわけではないし、そんなに本が好きというわけでもないのだが、いろいろと思うところがあって自分の血肉となったと感じた本を紹介してみようと思い立った。
3冊だと少なすぎるし、10冊だと多すぎるので、7冊だけ。
ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則
有名なビジネス書の一冊だが、さすがに有名なだけはあると思わせるレベルの内容だった。起業を考えてる人、自分のように実際にスタートアップに参加している人のみならず、マネージメントに関わる全ての人に読んでほしいと思った。
自分は常日頃、「マネージメントとは詰まるところ、いかに効率的にバカを排除するか」でしかないと考えていたのだが、この本は「そもそも不適切な人間をバスに乗せるべきではない」と明言している。これは個人的に衝撃的だった。
余談だが、この本を読んで自分の会社が偉大な企業にはなれないことを確信してしまった。
ソニーをダメにした「普通」という病
セールのときに 100円くらいで購入したのだが (定価は 540円)、個人的にはそこらへんの数千円するビジネス書より、はるかに価値のある内容だった。
私は、「生産性を落とす」を「人生を浪費する」に置き換えた発想をするべきだと思っている。
この一文のためだけにでも読む価値はあると思う。実際、この本を読んでから自分もそう考えるようになっていた。自分の人生も、他人の人生も浪費しない。それがいまの自分の中の大きな基準となっている。
それともうひとつ、どこの会社にもいるであろう「聞いてないんだけど」オジサンに強烈な一撃が加えられているのも見どころだ。
仮に百歩譲って事前ネゴを行ったにせよ、彼らは、その事前ネゴの時点ですら「そんなの聞いてない」とのたまうのだ。 じゃあいったいいつ話せばそのセリフがでてこないようになるのだ?
もしかして前世か?
入門UNIXシェルプログラミング―シェルの基礎から学ぶUNIXの世界
自分が初めて読んだ本格的な技術書だと思う。いまどきシェルスクリプトなんて、と思うかもしれないが、シェルスクリプトのすばらしい点は完全に枯れ果てているというその一点だ。
そのため10年前に覚えた技術ではあるが、いまだに使える技術でもある。
ラテン語は死語であるがゆえに意味が変わらないので、その利点のために使われているという話もあるが、シェルスクリプトは言ってみればソフトウェア業界のラテン語である。
エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする
これはほんと義務教育に取り入れてほしいと思うほどすばらしかった。いまの日本社会に欠けているのは、まさにこのエッセンシャル思考だと思う。
世の中には残念ながらエッセンシャル思考の欠片もない人たちが一定数存在しているが、自分はもうそういう人たちとは可能な限り関わりたくないと思っている。ほんと疲れるよね、ああいう人たちって。
まあ、向こうもこちらに対しては同じこと思っているだろうけど。
三色ボールペン情報活用術
これ系のテクニックで自分が唯一実践しているのが、この三色ボールペン情報活用術だ。これは本当に実用的で便利なテクニックだと思う。
紙媒体のみならず Kindle でもこれを実践している。Kindle は残念ながら緑のマーカーがないので、黄色を緑の代用としている。
これがソーシャルでできたらもっとおもしろいと思うんだけどね。
アナタはなぜチェックリストを使わないのか?【ミスを最大限に減らしベストの決断力を持つ!】
この本はチェックリストの活用に関して書かれた本ではあるが、個人的にはそれはむしろおまけみたいなもので、この本の本質は「自分がいま持っている能力を 100% 出しきることの重要性」を説いている点にあると思う。
みんななにか問題にぶつかるたびに、解決策として他の新しいものを求めがちだが、実はいま自分が持っているものを出しきるだけでも相当なことができるということに気づくべきだと思う。
自分がいま持っているものを出し切る、この意識を持つようになってからできることが増えたような気がする。
もちろんそんなことは気にせず、実際にチェックリストを活用するために読むのもいいだろう。
星を継ぐもの (創元SF文庫)
ベタすぎて申し訳ないかぎりだが、SF 小説の王道中の王道。自分が SF 小説を読み始めるきっかけになった一冊だ。
月面調査隊が真紅の宇宙服をまとった死体を発見した。すぐさま地球の研究室で綿密な調査が行なわれた結果、驚くべき事実が明らかになった。死体はどの月面基地の所属でもなく、世界のいかなる人間でもない。ほとんど現代人と同じ生物であるにもかかわらず、5万年以上も前に死んでいたのだ。
この内容紹介の時点で傑作である。これ以上の説明は不要であろう。
ちなみにコミック版もあるが、そちらはおすすめしない。なんて言うかコミック版は、物語終盤のあのどきどき感が薄れているような気がする。