日本の殺人住宅に関して

2018-01-08   society 

はじめに

先日、電気ストーブが火元の火事で子供が犠牲になったというニュースを耳にした。毎年この時期になると似たようなニュースを耳にするが、要するに問題が根本解決できてないということである。おそらくは、今後 10年以上にわたって似たようなニュースを耳にするであろう。

ではその根本原因とは一体なんなのか?それは日本の住宅である。

以前、何度か日本の住宅の品質の低さに関する記事を書いたことがあったが、もうこれ以上日本の殺人住宅の犠牲者が増えるのを見過ごせないので、一度ちゃんとまとめておくことにした。

「一人でも多くの人がこの問題を認識することで、殺人住宅の犠牲者をこれ以上増やさないようにする」ことを目的とした記事である。

まず「一人でも多くの人がこの問題を認識する」ことが重要だ。なぜなら、

民主的な社会では、大半の人が不正義だと思わない限り、間違った習慣が続けられる。
── 『ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか』 ピーター・ティール (著)

からだ。

殺人住宅とは

「殺人住宅」とは言っても、この間どこかであったような殺人事件があった住宅のことではない。おそらく日本に存在する 9割以上の一般住宅のことである

多くの人は「ヒートショック」という言葉を耳にしたことがあるだろう。急激な温度差による血圧の急変動のことである。この「ヒートショック」による死亡者数は、交通事故による死亡者数の 4倍だそうだ。原因は言うまでもなく、低断熱・低気密かつ暖房設備皆無の日本の超低品質住宅にある。つまり日本人は家に殺されているのだ、まさに殺人住宅である。

ヒートショックは老人であれば死亡するレベルの体に対する負荷である。若い人がそれで死ぬことはないだろうが、それでも健康に対する悪影響は相当なものであろう。なんせ死ぬレベルの体への負荷だ、ただで済むわけがない。それが原因の隠れた疾患も相当数あると考えて間違いないだろう。

ヒートショックに加えて、個人的には、日本人が冬に風邪やインフルエンザにやられる最大の要因を作っているのは、日本の極寒殺人住宅だと考えている (最近話題のエビデンスなしで言ってることは十分に理解している)。もっと言うと、風邪やインフルエンザは「殺人住宅病」と言い換えるべきとすら思う。

若い人は死なないから問題ないで済ますことはできない。日本の殺人住宅問題は、国民全体の問題なのだ。

そもそも冬に家の中が寒すぎて場合によっては死ぬなんてのは、普通の先進国の常識ではありえない。さすがは後進国日本といったとこか。

このブログでも何度か書いているが、問題を解決するためにはその問題に対して適切な命名が必要となる (e.g. ブラック企業)。以前からこのヒートショック等の健康被害を引き起こす日本の住宅問題に関して、問題提起が必要だと常々思っていたので、去年あたりから候補をいくつか考えていた。

  1. 欠陥住宅
  2. 人権侵害住宅
  3. 極寒住宅
  4. 殺人住宅

「1」はこれだけ死人を出してるにも関わらず、日本の法律では欠陥住宅ではないから却下、ほんとに欠陥住宅なのも相当数あるだろうけど。

「2」もけっこういいと思ったが少し弱い、なんせ人が死んでるんだから。

「3」はエアコンつけろストーブつけろみたいな見当外れなことを言うやつが必ず出てくるから却下。

最終的に「4」の殺人住宅が妥当という結論に至った。

なぜ日本の住宅は 2018年になっても寒いのか?

先日、知り合いとこの話をしたのだが、以下のような理由が挙げられた。

  1. われわれの親世代やそれより上の世代は「冬は寒いのを我慢する」という選択をした
  2. われわれの親世代やそれより上の世代の問題解決能力のなさ
  • おれの親に、ある問題に対して解決を促すと、それを放置する理由を数百並び立てる
    • おれの知り合いの家も同じらしい・・・
  1. 日本人全体が「冬に家が寒いのは当たり前だ」と思ってる
    • 世界中探しても日本だけだよ・・・
    • 職場の外国人に「なんで日本の家はこんなに寒いのか」って聞かれるのに本当に疲れた・・・

上記のような要因が挙げられると思うが、もっと直近の、浅いレベルの要因を挙げると以下のようになる。

日本の住宅は、

  1. バカが設計して
  2. バカが建てて
  3. バカが売って
  4. バカが買ってるから

ものの見事にバカしかいない。これでまともな住宅なんてできるわけがない。

だが、実は 1 ~ 3 に該当する住宅関連企業は大した問題ではない、連中がくそみたいな住宅を建てたり売ったりして、売れ残って自滅していく分にはまったく問題ない。

真の問題は、それを買って連中に利益を与えた上にその住宅に殺される 4 に該当するバカの存在だ。害虫に餌を与えて増やした結果、日本中が害虫だらけになってしまった。その結果、害虫が要因の問題で健康を害されて死ぬ人間まで出てきている。それがいまの日本の住宅事情だ。

日本の殺人住宅問題を解決するには、消費者が賢くなる必要がある。そうすることが、日本の凶悪な殺人住宅業者に餌を与えないための予防策であり駆除方法である。後述するが、連中のビジネスモデルを考えると、日本の殺人住宅業者が自発的に問題を解決することはありえない

余談だが、おれの弟は 2 のバカだ。

日本の住宅関連業者のビジネスモデル

ここでの日本の住宅関連業者とは、

  • 建材屋
  • 工務店
  • 分譲マンション関連業者
  • 不動産賃貸業者
  • 賃貸物件オーナー
  • など

日本の殺人住宅に関係する企業・個人もろもろである。

なぜ日本の住宅関連業者が自発的に問題を解決することができないか。それは連中のビジネスモデルを考えるとよく分かる。

連中は住宅を売ったり貸したりすることで利益を得ている。そのため住宅にかかる費用を下げれば下げるほど利益が出る。これは当たり前のことを言っているだけにすぎないが、問題はここからだ。家にかかる費用を下げるということは要するに、

  • 断熱材を減らして
  • 断熱性能ゼロの安物のスチール製ドアと
  • 断熱性能ゼロの安物のアルミサッシを入れて
  • 暖房設備を設置しない

ということである。

言い換えると、住人を凍えさせれば凍えさせるほど連中は儲かるのだ。儲かる上に法律上問題ないのだから、自発的に止めるわけがない

踏まえて、日本の住宅関連業者のビジネスモデルとは、端的に言い表すと、

住人の健康を削り取って金に変える商売

ということになる。

だからヒートショックで最大の健康被害と言える死亡事故が起きるなんてのは、連中にとっては利益を最大化できたというだけの話でしかない、これは笑いが止まらないであろう。

もう一度言う、日本の住宅関連業者のビジネスモデルは、「住人の健康を削り取って金に変える商売」である

われわれが取るべき行動

おれはずっと家賃 6万円未満の安アパートに住んでるけど、これより高いところに住むつもりはない。なぜなら、日本の賃貸物件は、

  1. 安い安物
  2. 高い安物

の二択でしかないからだ。どっちにしろ安物である。日本の住宅はその性能のみならず、デザインや建材も本当に酷い。それは高い部屋でも変わらない、まるで某安物家具屋にいるような気分にしかならない、本当に酷い。だったら「安い安物」を選ぶのは道理だ。

(追記: 賃貸であれば、築 5年以内、鉄筋コンクリートの物件に絞ったほうがいい。殺人住宅にも程度があるので、ましな物件を選ぶ方が賢明だからだ。断熱材もまともに入っていないような物件は徹底的に避けて、大家ごと滅ぼすべき。)

日本の消費者は、可能な限り連中に利益を与えない行動を取らなくてはならない。そのためには以下の 3つを強く認識することだ。

  1. 日本の住宅の断熱性能の低さを含めた陳腐さを認識する
  2. 家に暖房設備が備わっていないことの異常さを認識する (エアコンは暖房設備ではない)
  3. 冬に廊下やトイレを含めた家の中が、20度を下回ることが異常である、という認識を持つ

上記を踏まえて、断熱に関する知識を身につけるべきと考える。問題を認識した上で、解決策に関する知識を身につけるためだ。

加えて、家を建てたいと思っている人には、次の書籍の一読をおすすめしたい。

低燃費住宅2 (Lib 2)
4861310407


話は変わるが、知人の部屋が灯油禁止らしく、それで冬はどうしているのか聞いてみたら、エアコンで震えながら生活しているらしい。灯油禁止って物件は結構ある気がするけど、暖房設備もなしでそれは人権侵害レベルではないだろうか。ザル断熱・無暖房で入居者が冬にどんな思いをするのか考えもしない、これが日本の賃貸物件オーナーである、ろくなものではない。

問題を解決できそうな企業

実は中にはまともに日本の殺人住宅問題に向き合っている企業もあるようだ。実際に建てられた家を見たわけではないのでなんとも言えないが、内容を見る限りでは問題の本質を捉えている。

このページはぜひ一読してほしい。

日本の家は世界最低レベル

1月2月の平均気温を調べると東京はパリに仙台はニューヨークやベルリンと同じくらいとわかります。長野はプラハと青森はストックホルムと同じくらいです。何故日本の家が特に寒いのでしょう。 ある先生によると「日本には断熱の考えがなく、冬に寒いのは当然として我慢して暮らしてきたから」とのこと。 ...

最終目標

最終目標はもちろん殺人住宅の排除だが、その前に「日本人は殺人住宅に住まわされている」という認識をもっと広めること。そして購入や賃貸契約の際に、「これって殺人住宅ですよね?」と消費者が問いただせるようにすることだ。そうなってようやくこの国から殺人住宅を排除する道筋がつくだろう。