ペーパー脳

2018-08-11   society  management  web 

訳あって比較的 IT リテラシーの低いメンバーと働くことになったのだが、一緒に働いているうちに、だんだんと彼らの根本的な問題点が見えてきた。まだおれの中でも完全にまとまりきっていないので、読んでいて疑問が残る点もあるだろうが、おれの中に湧いてきたものが消えないうちに一度まとめておきたい。

結論から言うと、ITリテラシーの低い人たちの問題点は「ペーパー脳」にある。ペーパー脳とは言っても、「考えていることが薄っぺらい人」という意味ではない (まあ、結果的に薄っぺらいかもしれないが・・・失礼)。

ペーパー脳とは?

「ペーパー脳」とは、最終成果物に紙媒体を想定する思考形態のことだ

ペーパーレス化が叫ばれて久しいが、「紙にプリントアウトしなければペーパーレスである」と勘違いしている人があまりにも多い。多すぎる。「紙にプリントアウトしなければペーパーレスである」というのは一見正しいが、それは最終成果物である紙の直前で仕事を止めたにすぎない。プリントアウトという最終工程を省いただけで、ペーパーを目指して仕事をしていることには変わりない。ペーパー脳の人たちは、このことが理解できていない。

ペーパーレスペーパーワーク

日本企業で働いている人なら、Excel で作成された、おれが「真っ黒罫線びっちびちドキュメント」と名付けた、真っ黒のぶっとい罫線だらけの履歴書みたいなフォーマットの Excel ドキュメントを目にしたことがあるだろう。あれこそがまさにペーパー脳の産物である。あんなペーパーワークを引きずり回したドキュメントを作っておいて、「紙にプリントアウトしないからペーパーレスだ」と言っているのだ。正気の沙汰ではない。

余談だが、おれは罫線が嫌いだ。こと日本人が作るドキュメントは、異常なほど罫線だらけのものが多い。あれはおそらく、日本は長い間「手書きの文化」だったことに由来する。アルファベットを使用するシングルバイト文化圏では、タイプライターが使えたため、この問題は発生していない。PC によって手書きが駆逐された現在では、罫線は完全に無用の長物なのだ。

真のペーパーレスへ

真のペーパーレス化には、「最終成果物に紙媒体を想定しない」ことから始めなければならない。それにはまず、いわゆるオフィスソフトをやめることだ。あれはペーパーワーク時代の思想を引きずった設計であるためか、ペーパー脳を促進するという壊滅的な副作用がある。実際のところ、ITリテラシーの低いペーパー脳の人たちは、オフィスソフトが大好きだ。

だからこそおれは「オフィスソフトを捨てない限り、真のペーパーレス化は実現できない」と考えている。

加えて真のペーパーレス化を実現するには、従来のペーパーワークからプロセスそのものを変える必要がる。前述のとおり、プリントアウトしないだけでは、ペーパーワークと大差ないのだ。

「ITリテラシーの低いおじさんが、画像を送るために、シートに画像を貼り付けただけの Excel ファイルを添付してメールしてきた」という笑い話があった。たしかに滑稽ではあるが、ペーパーワークを引きずり回す彼らの頭の中には、オフィスソフトしか存在していないのだ。

では一体どうするのが正解なのか? JPEG ファイルをそのまま添付してメールする?残念ながら、いまの時代はそれも不正解である。不正解であるどころか、画像を Excel ファイルに貼り付けて送ってきたおじさんと大差ない。

Web脳を目指せ

現状の正解は、

  1. ScrapboxDropbox Paper に貼り付けて、URL のみをメールやチャットで共有する
  2. 指摘内容や共有事項は該当 URL のページ上に直接記載する

である。これがペーパー脳と対極の Web脳であり、目指すべき思考形態だ

Web脳を目指す上で重要なのは、まずファイルという概念への依存を捨てることだ。具体的には上記 1 のように、「Scrapbox 等に画像ファイルを貼り付けて URL 化する」ことで実現可能だ。個人的には「ファイルをクラウドで隠蔽する」と表現したい。

ファイルという概念もまた、ペーパー脳を促進する。実際のところ、ファイルはペーパー、つまりプリントアウトの直前で止めただけのものにすぎない。ファイルはペーパーワークのプロセスの一部であり、その証拠に「ファイル」はもともと紙を綴じた物を意味する言葉だ。だからこそ Scrapbox などに貼り付けることで、ファイルの存在を隠蔽してやる必要があるのだ。

コミュニケーションするな、コラボレーションしろ

加えて、ファイルのやり取りという行為は、必ずコミュニケーションを必要とする。仕事において多くの場合、必要なのはコミュニケーション(伝達) ではなく、コラボレーション(協同作業) である。非効率な現場では、コラボレーションすべきときに、延々とコミュニケーション (メールやチャット、またはミーティング) をしている場面が散見される。

Scrapbox や Dropbox Paper は、同一ドキュメントを複数人が同時に編集することが可能だ。これはメールやチャットをスキップして協同可能なことを意味する。

まとめ

まとめると次のとおり。

  • ペーパー脳
    • ファイルベースの思考
    • オフィスソフト
    • コミュニケーション
  • Web脳
    • URL ベースの思考
    • Scrapbox、Dropbox Paper、等
    • コラボレーション

このブログでも何度も紹介しているけど、Scrapbox を使いましょうということに尽きる。あれは Web脳を加速してくれるツールでもあるからだ。

Web脳を目指していくと、ファイル管理から開放されるというプラスの副作用もある。Google Play Music で MP3 ファイルから開放されたり、Gyazo で JPEG ファイルから開放されたり、といった具合だ。

ファイルを捨てて、インターネット時代に最適化された Web脳を目指していこう。